死神の精度

昨日結局一気に読むだけ読んだので。
映画のレビューページとかいくつか見てしまったせいもあって、それが変な
先入観を持たせてしまっていたかもしれない。
いくつかのリンクを持たせた短編集といった感じだ。
時代を明確に規定していないので、老女の話だけがかなり先、という以外は
現代に近い時代で考えておけばよいのではないかなと思った。「ラジカセ」
という表現からすると1990年前後っていうあたり?
映画版だとこのあたりがちょっと厳しかったのかもしれない。

Amazonのレビューにもあったけど、短編のふりをした長編というキャッチに
騙されていた。全部の短編がリンクするもんだと思っていたのでどういう
収斂をするんだろうかとwktkしていたのだけどもそういうわけではなくて。
淡々といろんなシチュエーションを描いたちょっといい話のアラカルト。
その上で、最後にもうひとつだけ気の利いた添え物があるような感じがした。

しかしこうなると映画で取り上げたエピソードは非常に疑問だなぁ。時間的
に3つに絞るというのであれば2つ目は恋愛じゃないとだめだったんじゃない
かと思うのだけど。とまあ未見で言うのもなんだけど…

もっと距離が詰まるとかそういうのがあるのかなと思ったけど、あくまで
一線を保っていて、まさに「見守る」という表現がぴったりな感じがした。

いずれ死ぬのだから、もうちょっと過ごしている時間に何か意味をつけて
あげられるようにしたいものだ。「お前が無為に過ごした今日は昨日死んだ
誰かが必死に生を求めた明日だ」みたいなフレーズって初出はどこなんだ
ろう。

1週遅れのお盆にちょうどいい生と死を少し考えさせ、それでいて少しゆるっと
させられた一冊だった。